雇用条例 (Employment Ordinance):日本語版 第1部

Updated: Aug 6

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易行難知 (行うは易く、知るは難し)


主僕条例から雇用条例への社会改良主義的変遷


香港の雇用条例は、人材紹介会社の雇われ労務コンサルタント達(労務コンサルタントと人材エージェント会社が同一会社という形態が主流)が言うような日本的な意味の労基法の香港版なる安易なイメージとは異なり、最低基準の保障を謳うとはいえ、労働法体系を構築していない不完全な諸条項であると言うのが香港の実際の正しい認識である。


この点、日本、大陸や台湾の整備された労働法体制とも異なる。これが、労働問題においての対処の仕方と他の地域以上の困難を規定している。また、一般の労働者を自らの権利に対して無知な状態に置こうとする傾向は共通している。愚民政策は、資本主義社会では不可避的に存在している。


なぜ、ここまで労働者の権利がない環境なのか?それは誰も恐ろしくて抵抗しないからである。その結果行為の上では、誰もが今だけ、金だけ、自分だけの自己中そのものである。答えは簡単。


もちろん、香港は革命とは無縁の地ではなく、1967年の香港最大規模の反植民地反帝国主義革命、香港の労働運動の最も偉大な直接行動である(六七;六七革命;Hong Kong 1967 Leftist Revolution)が敗退したとはいえ、この雇用条例を、1968年にそれまでの奴隷条例(主僕條例)に代わって成立させた功績は改良主義的な消極的成果ではあれ大きい。


香港が24年間世界一として誇るのは資本家の自由度


Guru of Neo Liberalism、Monetarist Economist Milton Friedman in Hong Kong
Guru of Neo Liberalism、Monetarist Economist Milton Friedman in Hong Kong
The labor code is strictly enforced but not burdensome.
(労働法は厳格に施行されているが、負担にならない)  
- Heritage Foundation

驚くべきことに、香港は1968年以前は、植民地の主人と下僕の関係を規定する奴隷条例施行のままだった。その後は、労顧会と略称されるムッソリーニのファシストイタリアが大戦期までに設立させていた改良主義的な官僚統制による労働貴族による団体交渉権の否定体制が今日まで続いている。そもそも、この一元的な団体協約の独占が大戦後に反面教師とされて、日本では各労組は団体交渉権を獲得したのである。これは、各労組の団体交渉権なくしては、ファシズム的な労働体制そのものである。必然的にかつてのイタリアのように労使協調主義の御用組合に全てが一元化される。


世界一を24年間も誇る香港の資本家の享受する世界最高度の自由とは、何よりもこの団体交渉権の否定の上に成立している。これについては、

伊藤武専修大学法学部准教授の『イタリアの労働運動と政治 』が簡潔に要点を的確に押さえて総括している。ここの差異は、嘗てのイタリアが他の労組を物理的に葬ったのとは違い、労組は会員制の塾になっていて、組合の正規職員だけが本来の組合員の動きをしているだけである。抜け殻、塾となった労組は体裁だけと言える。


労働三権が制度的に蹂躙された労組の不健全な状態が、現在まで維持されているのが香港である。各労働組合の自立性はなく、団交もない社会である。


この点が非民主的な、労働者の人権がない状態を規定している。日本では、安倍政権下で同様の労使政策決定会議として、政労使会議「経済の好循環実現に向けた政労使会議」が2013年より内閣府で開催されているが、こちらの代表者は香港のような投票で決まっているわけではない。


団交がない社会というのは、労働問題がないからではなく、労働問題を解決する自主的な本来の権利、団交の権利もが剥奪されているからである。


ヘリテッジ財団はジャパンハンドラーやネオリベ工作で著名であり、日本の軍国主義の末裔達には殿堂ともみなされ、そこで公演することが国際社会からの評価であると自画自賛する所の映えある帝国主義の代表的財団の一つである。ここが、なんと世界のビジネス活動のランキングを例年発表している。2018 INDEX ECONOMIC FREEDOM によると、香港は全世界で一位の資本家の自由度を誇る。このランキングは信憑性が十分で直感とも一致するし、政府の官僚達の政策上の態度や方針にも明確に影響を与えている。


資本家の自由度が世界一ということは、同時に労働者の不自由度が世界一という栄誉にも預かることに必然的になる。現在の中国大陸は制度的には、まさに香港に追いつけ追い越せを目標にしている。香港の極端な資本主義を中国全土で実現させるのが現在の中国政府の政策的方向である。


しかし、2020年にはシンガポールが一位になり、香港は資本家の自由度が第二位にダウンした。


READ MORE:

https://www.icac.org.hk/en/intl-persp/survey/index-of-economic-freedom/index.html


中国政府の内部のリベラル派が目指してきた理想社会モデルは実は香港


さらに言えることは、世界で一番労働問題の解決が困難な社会環境が香港という事になる。最も極端なネオリベ社会が香港である。右の極端は香港であり、実はアメリカではない。アメリカも、シンガポールも香港には及ばない。

また、話は戻るが、雇用条例だけが香港の労働法規を構成しているわけではないことにも留意が要る。そこで諸条例の全体を統一的に考察することが求められる。企業の法務部や人事部はまさにこの様に考察しているからである。法律的な広大な穴は、特に条例間にある。香港の官僚達は基本、自分たちの部署の条例以外には無知であり、無関心である。当然、この点を突いてくる。