香港労働 Hong Kong Labor Issues #3 日本人のための香港労働問題研究:派遣労働法制のない派遣労働は派遣労働以上の複合的問題をも孕む

Updated: May 29

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香港労働 Hong Kong Labor Issues

派遣人材業は海を越える

派遣労働は、香港においてはその用語はまだ定着していないが、既にパソナなどの日系人材派遣業の大手ブラック企業により輸入されている。もちろん、もっと悪質な違法雇用形態も存在している。登録型と、常用型がある。前者は、バイトの形態をとることもあるが、派遣の基本は契約社員である。採用の場合に派遣される。後者は、無期雇用などととんでもない虚偽の宣伝をしている求人サイトもあるが、基本は常時契約社員として派遣されて仕事をする。香港は、暗黙の内に基本常用型である。登録型は見たことがない。

派遣労働は、日本では本来の専門事業とは異なる人材派遣業を始めた派遣元企業が、派遣であることを隠し、アルバイトと称して人材募集をするケースが多い。そこで請負労働者、請負アルバイトなるデタラメな危険な造語が発明されている。指揮命令権が派遣先になく、自社のみが派遣先でも指揮するという建前であるが、労働者たちは確証を先に得られない。指揮命令権が二重派遣先にないという原則、出向派遣先は一企業という原則を破る多重派遣の問題が未だに収束していない。

しかも、派遣労働者は、これに関連して偽装請負、派遣労働の名目で派遣されるフリーランスの労働者という問題も孕んでいる。偽装請負は、あくまでこの種の派遣労働者名義の労働者にしか法的に適用されていない概念である。そして、出向と派遣は同義であり、言い回しの違いである。

また、日本の派遣労働の問題では基本交通費が出ないということ、派遣元との契約も契約社員ではなく、アルバイトというケースも上記のいわゆる請負アルバイトなる派遣労働契約の劣化版において存在している。

請負アルバイトは、単なるアルバイトを偽装した危険な雇用形態である。請負がフリーランスの意味と巧みに重なるからである。これは、いつでも派遣やフリーランスにすり替え可能な輪郭の曖昧な形態で、そのまま派遣やフリーランスに付随する労働問題を複合的にもつ危険性が極めて高い。偽装請負や多重派遣問題に最も陥りやすいのがこの境界線の最も曖昧な請負バイトなるものである。

香港の派遣労働の実態

香港では、資本家がこの出向/派遣労働をフリーランスとして主張し、一切労働法規上の責任を遵守しない悪質ケースが発生している。様相は表面的に異なるようでも、派遣に典型的な派遣元企業(雇い元)、派遣先企業(雇い先)、労働者の派遣労働の三角関係が香港でも存在している。

人事コンサルタントは労働者階級の敵であり、ブラック企業の助産婦である。彼らは、香港に派遣労働法はないから、派遣労働は存在しないと主張するだろう。これは既に発生した派遣労働の判例で反証できる。規制がほとんど不十分なため、被害は日本以上に酷い。

それは、キャディー労働者、ゴルファー、派遣元企業の間で起きたケースである。実質的には、派遣労働のネオリベラリズム下でのさらなる負の発展形態である。もちろん、契約書の書面も、法的に明確なフレームもそこでは存在しなくなる。パートで、フリーランスで、派遣で、さらに無補償で、雇用関係や労働の実態も否定する最悪な手口である。

判例法理 Cheng Yuen v The Royal Hong Kong Club (CACV 146/1996)

鄭さん(当時82歳)は、1995年イギリス植民地下で、ゴルフクラブのキャディーさんをしていたが会社側は鄭さんを解雇し、一切の法的な補償をしなかった上に、鄭さんをフリーランサーだとして、この企業はあくまでキャディーさんになれる会員制を運営しているだけで、鄭さんの取引先、給与支払い元は毎回時間も対象も変わるゴルファーだと主張した。雇用契約及び雇用関係も一切否定する主張である。

鄭さんへのシフトのアレンジ、労働手段の制服、訓練の提供、給与は企業側がゴルファーより徴収した費用から給付、キャディーに3ランク設けて、懲罰昇級の仕組みを有し、広範な指揮命令、管理の権限を行使している。これは、労働者性の証明の問題、労働者をフリーランスとして雇う違法形態である。もちろん、福利や仕事保障はない。

資本家側は、上訴庭という高等法院の上級裁判所で勝訴したが、その際の論拠は、キャディーはサービスを提供するか否かを自分で判断でき、企業側はキャディーになれる会員制を提供しているに過ぎず、サービスの報酬はゴルファーから支払われると主張した。

しかし、その後当時の枢密院は極めて重要な判例法理を示して判決を覆した。この場合、契約の対象はゴルファーになる。しかし、その毎回ランダムなゴルファーたち一人一人にキャディーのサービスを提供する際、雇用契約が成立していないとするいかなる理由も見出せない。

上訴庭では、相互責任がない状態を直ちに雇用関係無しと混同した。それどころか、香港のいわゆる散工は、カジュアルな労働者を包括する概念であり、この種の労働者は毎日労働を提供する責任がない。この点を逆に雇用関係の無さとする資本家の詭弁が反駁されたのである。

雇傭条例では、まさにこの種の、カジュアルな労働者を保障する権利が連続性の契約の項で規定されている。

雇用条例第3条

3.

Meaning of continuous contract and onus of proof thereof

(1)

In this Ordinance,

continuous contract (連續性合約) means a contract of employment under which an employee is deemed by virtue of the provisions of the First Schedule to be in continuous employment.

(2)

In any dispute as to whether a contract of employment is a continuous contract the onus of proving that it is not a continuous contract shall be on the employer.

(Added 5 of 1970 s. 4. Amended 71 of 1970 s. 2)

従って、顧客を雇用主として定義づけるフリーランス労働なる違法な主張は、私立病院で看護婦を病人に雇われたフリーランスだというケースでも同様である。個人事業主、フリーランスの正確な定義は自らを雇う状態にある、いわゆるビジネスマン(事業主、資本家)のみである。ゴルフ会社は、ゴルファーの下に派遣し、病院は病院の下に派遣している上に、実は請負だという主張である。直接雇用をどれも否定している。しかも実質的にはパートなのである。

香港の派遣労働の概観

このような本来派遣事業/人材紹介派遣事業をしていない企業だけでなく、いわゆる専門に人材紹介、派遣事業を営む企業も当然存在している。そこでの問題は、この人材雇用会社がその他の企業に被雇用者を提供する際、この人材会社が代理人、エージェントなのか、雇用主なのかという問題が生まれ、多重派遣時に誰が雇用主か分からないという同種の問題が香港でも生まれている。香港に派遣労働の問題がないというのは虚偽である。労働者のリアリズムではない。偽装請負も存在している。しかも、往々にして複合的な労働問題を孕んでいる。

香港の具体的な派遣労働のカテゴリーは以下である。

1、蛇頭:酒場にウェイターを派遣する人材企業。

2、建築現場労働者を派遣する人材企業。

3、中国大陸に労働者を派遣する香港企業。これは、大陸人たちも香港で被害に遭っている。大陸に逆輸出された大陸系派遣労働者たちは香港の雇用契約のままで遠隔地へ飛ばされ戻ることはないという。

誰が派遣労働の給与を支払うかは法廷で考慮される要素の一つに過ぎない。決定十分条件ではない。

労働者の解決方法は、まず契約書面を要求し、雇用主を明記させることである。本来の基本形が失われている。いや、そもそも派遣労働形態は百害あって一利なしが香港でも共通であり、避けるべき雇用形態である。

雇用主の法的概念

雇傭条例第2条では、雇用主は単に資本家ではなく、雇用契約上他人を被雇用者として雇用する者である。そして、その権利を授受された代理人、マネージャー、factorと言われる代行者である。従って、代理人も雇用主とみなされる可能性がある。

雇用条例第2条

employer (僱主) means any person who has entered into a contract of employment to employ any other person as an employee and the duly authorised agent, manager or factor of such first mentioned person.

香港労働問題研究論考30章

(以下リンクより各論考へ)


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