『被雇用者補償条例』(僱員補償條例)解説
『被雇用者補償条例』の付表1は、労災認定される損傷の種類と仕事能力の喪失の法定判断の割合が列記されている。これは、賠償金額の計算において必須の参考資料になる。
労災は、資本家が社内的に喧伝し日々労働者の頭脳へ刷り込んでいる様な労働者の罪悪などではなく、雇用主たる資本家の社会的な賠償責任である。
労災判定・労災認定とは、日本も香港も雇用主・資本家側が、法務部、人事部、外部顧問の弁護士、社労士の類の輩と勝手やたらに社内的に裁断する権利を有する事柄ではないのを断言する。
以下、各傷害の種類、症状に対して法定の仕事能力喪失の割合の判断が列記されている。
この付表1は、同時に香港の労働現場で最も多い典型的な傷害・障害のケースを法的に概括した表現であると言うことでもある。労働現場での労災の典型的な、比較的最多の損傷のケースが、人々の意識において量的に確認され、一定量蓄積した結果、立法により労災認定のケースとして法的に規定され、各種業務上の損傷は、医学的な用語から法的用語へと質的に転化したのである。これは、唯物弁証法の量の質への転化の運動の社会的な労働運動の領域における事例である。つまり、資本主義社会の経済的土台である生産様式、その生産関係、労使関係における運動の社会的総体における業務上の各種損傷のケースの社会的な量的蓄積が、上部構造の一意識形態(イデオロギー)である法律において、労災認定されるケースとして立法会で社会的に規定されるのである。この逆は、既定の労災認定ケースからの為政者による恣意的な或いは同じ過程を経て社会的に規定されるところの削除や制限や修正のケースである。
付表1 損傷の種類 法定の仕事能力喪失の割合(%)
1、2肢喪失は、100%。
2、両手或いは、両手の親指と全ての指の喪失は、100%。
3、両足喪失は、100%。
4、完全失明は、100%。
5、全身麻痺は、100%。
6、永久的に床に就く事を要する損傷は、100%。
7、下半身麻痺は、100%。
8、永久的な完全な障害をもたらすその他の怪我は、100%。
9、肩の下からの腕の喪失は、75%、但し、利き腕は80%。
10、肩の関節の硬直は、最も自然な位置で、35%;最も悪い位置で55%。
11、肩と肘の間の腕の喪失は、75%、但し、利き腕は80%。
12、肘の下からの腕の喪失は、75%、但し、利き腕は80%。
13、肘関節の硬直は、最も自然な位置で、30%;最も悪い位置で50%。
14、肘と手首の間の腕の喪失は、70%、但し、利き腕は75%。
15、手首関節から下の片手の喪失は、70%、但し、利き腕は75%。
16、手首関節の硬直は、最も自然な位置で、30%;最も悪い位置で40%。
17、片手の親指と4本の指の喪失は、70%、但し、利き腕は75%。
18、片手の4本の指の喪失は、60%、但し、利き腕は65%。
19、親指の喪失は、第2節が、30%、但し、利き腕は32%;第1節が、20%、但し、利き腕は22%;指切断、ただし骨骼損失なしは、8%。
20、以下の部位の関節が硬直した場合、親指の指節関節は、4%;親指の指骨と中手骨の間の関節は、8%;親指の上の2つの関節は、12%。
21、人差し指の喪失は、第3節が、14%、但し、利き腕は15%;第2節が、11%、但し、利き腕は12%;第1節が、9%、但し、利き腕は10%;指切断、ただし骨骼損失なしは、4%。
22、以下の部位の関節が硬直した場合、人差し指の近くの指節関節は、2%;手のひらの近くの人差し指の指節関節は、3%;人差し指と中手骨の関節は、4%;人差し指の上の3つの関節は、9%。
23、中指の喪失は、第3節が、12%;第2節が、9%;第1節が、7%;指切断、ただし関節損失なしは、2%。
24、以下の部位の関節が硬直した場合、中指の近くの指節関節は、2%;手のひらの近くの中指の指節関節は、2%;中指と中手骨の関節は、3%;中指の上の3つの関節は、7%。
25、薬指の喪失は、第3節が、8%;第2節が、6%;第1節が、5%;指切断、ただし関節損失なしは、2%。
26、以下の部位の関節が硬直した場合、薬指の近くの指節関節は、1%;手のひらの近くの薬指の指節関節は、2%;薬指と中手骨の関節は、2%;薬指の上の3つの関節は、5%。
27、小指の喪失は、第3節が、7%;第2節が、6%;第1節が、5%;指切断、ただし関節損失なしは、2%。
28、以下の部位の関節が硬直した場合、小指の近くの指節関節は、1%;手のひらの近くの小指の指節関節は、1%;小指と中手骨の関節は、2%;小指の上の3つの関節は、4%。
29、一つの手の指全体が失われた場合、1本の指の喪失に対して規定された割合に加えて、次の割合が付与される。この項目では、「指」には「親指」は含まれない。同じ損傷ケースで同じ手が2本以上の指を失った場合、または同じ損傷ケースで、以前の損傷ケースで1本以上の指を失った手について(以前の負傷が仕事に関連しているかどうか、または補償が支払われているか、そのような指の喪失に対して支払われる必要があるかどうかにかかわらず)、1本または複数の指が紛失した場合、これらの追加のパーセンテージが付与される。
その手の第2指を失う場合は、6%、但し、利き腕は7%。
その手の第3指を失う場合は、6%、但し、利き腕は7%。
その手の最後の指を失う場合は、7%、但し、利き腕は9%。
30、中手骨の喪失は、第一が8%;第二、三、四或いは五が3%。
31、腰の下から片足を失う場合は、80%。
32、膝及び膝以上からの片脚の喪失は、75%。
33、股関節の硬直は、最も自然な位置で、35%;最も悪い位置で50%。
34、膝下からの片足の喪失は、65%。
35、膝関節の硬直は、最も自然な位置で、25%;最も悪い位置で35%。
36、片足を喪失は、55%。
37、足指の喪失は、片足の全ての足指で20%;親指の第2節で14%;親指の第1節で4%;親指を除き、一つの足指を喪失するごとに3%。
38、片目失明で、50%。
39、片耳失聴で、30%。
40、両耳失聴で、100%。
41、外耳の喪失または外耳の変形は、2%。
42、鼻全体の喪失は、25%。
43、鼻の外観の変形は、5%。
44、脾臓の喪失は、5%。
45、腎臓の喪失は、片方の腎臓が正常なら15%;片方が異常なら65ー95%。
46、尿道損傷は、尿道が狭くなり、拡張が必要な場合、頻度は2週間に1回未満なら5%;尿道が狭くなり、拡張が必要な場合、頻度は2週間に1回以上なら10-20%;尿道切断の場合は、20%。
47、膀胱機能障害は、損傷の形態が、放尿への逼迫感または他の軽度の膀胱機能不全の場合、5-12%;反射機能は良いが随意な制御能力はない場合、13-22%;不十分な反射機能と随意な制御能力なしの場合、23-27%;反射機能なし、随意な制御能力なしの場合、38-60%。
48、肛門直腸機能障害は、随意な制御能力が限定的にある場合、0-7%;反射調整機能あり、随意な制御能力なしは、8-17%;反射調整機能なし、随意な制御能力なしは、18-25%。
注解
(1) 身体の一部の機能が永久に完全に失われた場合は、当該肉体部分は失われたと見なされる。
(1A)身体の一部の部分的な損失、または身体の部分の機能の永続的な局部的な損失は、本表で規定されている仕事能力の損失の割合の一部の損失と見なされる。それは身体部分の局部的な喪失または身体部分の機能の永久的な局部的喪失は、当該身体部分が完全に喪失したときの割合と比較して計算される。
(2)手の2つ以上の部分が失われた場合、割合は手全体の損失の割合を超えてはならない。
(3)過去に1つの腕、1つの脚、または1つの眼が失われた場合、残りの腕、1つの脚、または1つの眼の損失に対する補償は、完全に仕事能力を喪失した割合から1つの腕、1つの脚、または1つの眼の補償から、以前1つの腕、1つの脚、または1つの眼を喪失した際に支払われた補償或いは本来その様に支払う補償の差額を引いたものである。
(4)同じ手の親指と1本以上の指が失われた場合、合計の割合は同じ手の親指と4本の指の割合以下を限度とする。
(5)同じ足の親指と1本以上の足指の喪失の場合、合計の割合は、片方の足が全ての足指を喪失した場合の割合を超えてはならない。
(6)この表で割合が設定されている場合、最大の割合は最も深刻なケースに適用され、最小の割合は最も軽いケースに適用され、2つの間の割合はケースの深刻度に従って適用される。
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