香港労働法 Hong Kong Labor Issues #44 日本人のための香港労働問題研究:新型コロナウイルス肺炎の労災未認定下に於ける労災認定と補償について

Updated: Aug 6, 2021

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香港労働法 Hong Kong Labor Issues #44 日本人のための香港労働問題研究:新型コロナウイルス肺炎の労災未認定下に於ける労災認定と補償について
香港労働法 Hong Kong Labor Issues #44 日本人のための香港労働問題研究:新型コロナウイルス肺炎の労災未認定

2020年5月1日 メーデー(労働者の日)に際して


「第18時間は仕事のために、第28時間は休息のために、そして残りの8時間は、私たち自身の好きなことのために」

1886年5月1日にアメリカのシカゴ中心に合衆国カナダ職能労働組合連盟により始まった8時間労働時間制者階級の連帯と団結の祝日でもある事が忘却され、メーデーの本義を知らないでメーデーという名前しか知らない労働者が多い。しかし、これはWikipediaによる歴史修正主義的な洗脳であり、実際は第二インターナショナルのパリ大会でエンゲルスが1889年7月に決議で通過させ、1890年5月1日から国際的な祝日とする旨が確定したのが今日のメーデーの始まりである。


メーデーの父であるエンゲルスの意向とは裏腹に大変遺憾ながら、香港では、この日は、完全にフェスティバル化しており、体制派(親中派という訳は不正確であり、建制派とは体制派のことしか意味しない)も反対派も未だ香港で実現できない8時間労働時間制の法制化の要求を法案として立法会に出さず、前者は新型コロナウィルス蔓延下での失業救済金や銀行休日と法定休日の統一などの二次的、近視眼的な一時的な処置にしか言及すらしていない。


香港の労働者階級の最大の欠陥は、まず第一に団体交渉権の欠如であり、同程度に最重要なのは、8時間労働制である。これがないために残業代ゼロであり、過労死及び格差は日本以上なのである。サービス残業は、労働者の生み出す剰余価値の搾取の理想形態であり、資本家側は全く賃金を払わないで、文字通りただ働きさせて、自身は利潤をそのまま得るという盗みである。


香港では、例外として香港民主民生協進會と職工盟の反対派二政党がかろうじて主張するぐらいである。しかも、この2020年の5月1日は、純粋に8時間労働制や団体交渉権を希求する労働者の声ではなく、コロナ蔓延下でも散発的に継続していたが、2019年6月12日以来の反逃亡犯引渡し条例法案のカラー革命の本格的な再開の日となった。


体制派の無能ぶりには失望と倦怠以外にない。今や8時間労働制要求のポーズすら影を潜めた。香港の労働者階級は自身の利害の代表者を未だ欠いているのである。

 

1. 香港にも労災認定と労災補償の法制はある

『被雇用者補償条例』(僱員補償條例


香港の労働法体制は、何回も何回も繰り返し本論考で言及している様に、所謂雇用条例だけではない。香港の人事部は、入社説明や入社後も、『被雇用者補償条例』(僱員補償條例)を積極的に労働者へ説明することはない傾向にある。そもそも人事部や法務部は資本家代表であり、資本家の利益を労働者の側から守る為に雇用され、企業内部に存在しているのを忘れてはならない。

本論考は、労働者個人及び労働組合の実践と理論だけでなく、常に法務部・人事部の側の労働者に対する実践と理論も考慮視野に入れて、労働者階級の立場、労働者個人の利害の保護の立場を全面的に貫徹するものである。


日本も香港も労災を悪として、労働者の罪悪や労働者のもたらす疫病の様に社内でも喧伝して、労災を起こす労働者自身を咎める空気を醸成するのが資本家側であるのは共通している。これは、資本家の監督責任を歪曲し、労災責任のない労働者の側に非をなすりつけておく事で雇用主の固有の労災責任を曖昧化、果ては放棄するものである。筋違いの倒錯した観念である。この様に資本主義社会では、本末転倒が常態である。真理は往々にして逆立ちさせられている。


常に肝に命じておくべきは、香港の人事部は、労働者の権益を最低限にし、よければ自ら棄権させる事を狙い資本家側の社会的負担をゼロにするのが勤務評価の目標である。又、日本の人事部でも想像のつかないような呆れたトンデモ手口平気で繰り出してくるのが香港の人事部である。従って、労働者は自覚して自らの権益を香港のネオリベ、ネオコン法制下で自覚的に死守しなければならない。労働者にとって香港は、日本よりも難度が高い、世界一労働者保護に欠如した労働環境である。


現在の所謂ネオリベ社会は、一言で概括すると、富の再分配が富裕層から貧困層へではなく、労働者から、貧困層から富裕層への逆の富の再分配になっているのが本質である。従来の福祉社会の真逆のことをし、労働者から富を富裕層へ再分配する富裕層や資本家のための手厚い福祉社会とでも言うべき極端な反動がネオリベ社会である。


この労働者の財産の収奪の過程が、正社員の非正規化、似非フリーランス化、消費税及びその増税、NHK放送料金強制徴収と言う現象にも現れている。格差の際限のない拡大政策が、貧困対策の美名の下に、実態は全く逆の事として平気で行われているのが現実である。所謂緊縮政策は、貧困層を犠牲にして、その富、つまり財産をむしりとって、全て富裕層へ回すのが実態である。イギリスでも日本同様のネオリベが深刻である。


従って、コロナ下の資本家への財政支援は、基本格差拡大にしかならず、資本家は、最も財政支援を不要とする社会的な単位である。市場の危機に際しても、彼らの愛する資本主義の法則に任せて淘汰されれば良いのである。それに対して、労働者全体へ何ら有効な富の再分配がなされているわけではない。大部分は、手当の申請で門前払いされ、引き伸ばされた挙句に、手遅れになるだけである。


What austerity has done is redistribute wealth from the poorest to the richest – this is not a secret; it is well known and well researched. Since 2008, the wealth of the richest one percent has been growing at an average of six percent a year and, in 2016, academics from the London School of Economics published research showing clearly that austerity had been selective, with cuts falling heavily on the poorest. 


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従って、私は資本の犬とは正反対に、現地日本人の労働者階級の普遍的利害の為にこれを日本語で公に説明する義務がある。香港では、中国語や英語では植民地時代からこの領域の専門知識は法律業界内では体系化されているし、サポートも受けられやすいのでそれらの言語では執筆する必要はない。


本論考は、香港人ではなく、香港の少数民族たる日本人同胞のみを対象にし、その他の民族や国籍を全く想定していない。一人でも、二人でも多くの可能な限りの人が母語で実際を理解でき、現地採用での香港での労働の準備やすでに労働に従事している者なら、その問題解決の一助になれば幸いである。


話を『被雇用者補償条例』(僱員補償條例の説明なしの人事部の傾向に戻せば、これは、日系の職業紹介会社達が素人並みに香港の労働法制といえば、雇用条例しか頭に無いことも悪影響している。日系企業は、基本的に日本人駐在員が少数管理職であり、現地感覚がない。いつでも現地労働者たちとの関係から遊離している事を、こうした断片的な偏狭な視野と傾向からも一目瞭然に理解できるのである。これは、彼らの専売特許である「労務管理」の立場からも、その反対物である資本主義社会の絶対多数派である勤労者、労働者、偉大なるプロレタリア階級全体の利害の立場からも有害であり、百害あって一利なしである。


ついでに言うと今では激減している駐在員、海外赴任さんたちは、派遣元の国の雇用契約であり、現地採用ではなく、3年経過以降は、元の契約による明記された場所がどこであれ、そこに限定する旨が明記されない限り、異動が通例可能になる。これは、国内における各地方事業所への本社からの管理職、正社員の異動による地方赴任と同様である。彼らの雇用主は香港の雇用主や香港登録の企業自体ではない。この点が重要。抽象的に、一面的には本国の雇用契約法、労働法適用の為、個人の雇用契約においては香港の法制と欠陥から来る労働問題は立ち現れない。


そしてそれは社会福祉が日本の法制下のものを香港でも享受できる点に顕著である。しかし、彼らと現地採用の労働者たちとの社内関係においては当然、現地固有の労働問題は発生するし、外交官ではないので、香港登録法人として現地法で会社ごと追究される。よく本国の本部採用という体裁で現地採用を法務部に関しては行うケースがあるが、その場合でも労働紛争時の対象は勤務しているその香港における事業所となる。これは、日本国内でも本社ではなく、支社でもなくても、勤務地にある事業所単位で労基法の追究の対象になるのと同様である。


まず、職業紹介会社や「労務管理」の顧問会社は機能を兼備している場合があるとは言え、法律事務所とは基本別概念である。彼らも弁護士、検察官、裁判官といった司法界の職業ではない。弁護士を会社代表にする為に不誠実で脱法的な工作で労資審裁処対策で、会社員として雇用する手口はあるが、人事部に入れ知恵をする香港の企業内部の法務部も基本同様に司法界の職業ではない。


それに対し、労働者、労働問題を処理する者、労働組合構成員など自身の利害として労働問題に取り組むものは、総じて当然彼らを制約するところの労働法制とその関係について論考する義務や必要がある。言論の自由の範囲である。労働者階級に労働問題や労働法制についての思考論考をやめさせる事はファシスト社会でしかありえない。


プロレタリアートはこう叫ぶ。「我々勤労者に奴隷、かかしになれと言うのか?資本家ども!」と。労働者階級の完全解放までは論考や批判は労働者階級の側から止むことは有り得ないのである。労働者は、資本主義社会においてその労働法制と自身の置かれている生産諸関係の真実を知れば知る程、それだけ資本家側の対処の難度を増す事ができ、労働者の損失を最小限に抑え、果ては資本主義自体の変革への道を自覚的に切り開く事ができる。問題は、まずは知識にある。その後は行動である。


本論考の主題である労災認定と補償は、香港の労働法制の中でも最も分量がある領域で、それだけで一冊の本になるぐらいである。人事部にも入社時の説明やオリエンテーションで言及されることは香港ではまずないので、自覚した労働者個人が主体的に、能動的に労災認定と労災補償の法体制を勉強、認識するしかない。


何処の資本主義社会でも暗黙の愚民政策が施行されていて、その証拠に義務教育で労働法が一般科目、必須科目として教えられていない。学生は、専門領域だけでなく、同時に自らの属する現地社会の労働法制を知り就職=就業に備えるべきである。これこそ、その専門領域の先人たちが後輩たちと本来シェアするべき知識と経験である。

労働問題は、純粋に経済問題のみではなく、現地の政治、法律及び経済の三領域を跨る多領域問題である。


さらに工業病の様に、医療保険衛生、から環境や資源、自然、家庭生活、倫理道徳の領域にまで関わる。最も人間社会の多岐、上部構造と下部構造、本質において全体に渡る問題が労働問題なのである。社会的な風紀の乱れや衰退は、須く雇用関係の病的現象にその源泉を見出すことができる。ブラック企業現象が好例である。


ブラック企業とその手口は、その全体と性質において、一言で言えば野蛮であり、企業間で言えば、市場における不当競争の形成になる


ブラック企業社会では、不当競争の競争がそれと結託、放任する公務員の腐敗と共に深刻化しており、何も、社会主義とかではなく、彼らの大好きな資本主義的にも深刻な問題なのである。「不当競争の競争」の自由放任は、資本主義の秩序の崩壊でもあるし、資本主義が極端に強まった抑制の効かない必然的な帰結でもある。これが末期の退廃現象であるのは言うまでもない。


資本主義社会を理解する事は、それを受容し美化正当化する事、永久に維持する事に賛成を意味しない事は、カール・マルクスの代表作『資本論』(マルクスのすべてが凝縮されている労働者必読の書)とその資本主義経済の研究が何より証明している。

同様に、資本主義社会の上部構造の一つである実定法と法体制の秩序とを理解する事は、労働法制に関してはそれに体現されている過去の労働運動の成果と失敗、資本家階級の階級意志を理解し、既に達成された諸成果を最大限利用しつつ、法の欠陥と不備不足から来る社会的な不利や損害を自覚的に最小限にする事、そしてさらに進んで変革を促す労働運動への個々の参画を意味する。

資本主義的生産関係では、本質的に労働者不利であり、労働問題において完全に損害不利益ゼロという事は資本主義下ではありえない理想である。労働問題ゼロはありえない、つまり資本主義的生産関係自体が剰余価値の搾取を絶対的に前提にしている以上、その様な生産関係自体が根源的な構造的労働問題だからである。

その他の労働問題は、その派生物、程度や規模の異なる種々雑多な個別の具体的諸現象に過ぎない。言い換えると、生産関係は、その総体運動だけでなく、その本質が反映する個別の具体的な諸現象も含めたダイナミックな運動概念と言える。

サービス社会では、サービスもそれ自体商品であり、生産消費活動の不可分の一環をなす形で資本利潤生成の運動に最終的に組み込まれている。これは、明白にも19世紀、20世紀より細分化した(つまりより高度化した)社会的分業の結果そのものである。愚昧な管理職は、今日のサービスと言う商品、サービスはそれ自体が商品である事を誤解している者が多い。サービス業主流の社会で、サービスが利潤を生んでいないと言うのは全体を無視したデタラメである。これは、簡単に反駁できる、ではなぜその部門をなくさないのかと。こんな倒錯観念を有した者が管理職になるのは滑稽である。それは自己否定を意味している事にすら気づかない輩の詭弁だからである。利潤の生成の運動と関係のない部門は企業に本質的に存在しない。

以上の困難下で、労働者は、まずは最も自身に関係する問題の起きている領域の法体制について自覚的に勉強するしかない


最悪の状態とは、消費におけるトラブルでも盲目的に資本家企業側の善意志を盲信してそれに身を委ねる事であり、それによる損益は本来少なくて済むよりも遥かに多いものとなりがちである。

香港のコロナウィルス感染の第二波は、3月11日の9件に始まり、4月11日の11件の1ヶ月で収束した。しかし、テストが相変わらず拡大していないことから感染の実態はその何倍もあると考えられ、感染の危機は去っていない。まして、香港だけ開放しても、他の地域の感染が収束しない限り、また第三波を将来するだけなのは自明の理である。


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China, Hong Kong SAR (May 1, 2020)

Coronavirus Cases:

1,040

Deaths: 4

Recovered: 859


URL:

https://www.worldometers.info/coronavirus/country/china-hong-kong-sar/


結論から言うと、新型コロナウィルス肺炎は現在に至っても労災対象に香港では認定されていない。しかし、『被雇用者補償条例』(僱員補償條例)の第36条では、もし労働者自身が感染と仕事の関係を証明できれば、その証明過程に難度があるが、補償の対象になる可能性がある。しかし、コロナ蔓延以前に、多くが基本的に労使紛争に発展している。つまり、民事訴訟になっている。つまり、職業病に指定して、行政的に労災認定可能にするよりも、労働者側にとってハードルが高く不利になっている。


36.

Saving in case of diseases other than occupational diseases

(1) Subject to subsection (2), nothing in this Part shall prejudice the right of an employee to recover compensation under this Ordinance in respect of a disease to which this Part does not apply, if the disease is a personal injury by accident within the meaning of section 5. (Added 19 of 1964 s. 5. Amended 44 of 1980 s. 15; 51 of 1980 s. 48)

(2) Subsection (1) does not apply to any incapacity resulting from— (a) pneumoconiosis or mesothelioma (or both) in respect of which compensation is recoverable under the Pneumoconiosis and Mesothelioma (Compensation) Ordinance (Cap. 360); or (Replaced 6 of 2008 s. 45) (b) noise-induced deafness in respect of which compensation is payable under the Occupational Deafness (Compensation) Ordinance (Cap. 469). (Replaced 21 of 1995 s. 41)


36.

關於非職業病的疾病的保留條文

(1) 除第(2)款另有規定外,如任何疾病是本部不適用者而是第5條所指的意外所致的身體受傷,則本部並不損害僱員根據本條例就該疾病追討補償的權利。 (由1964年第19號第5條增補。由1980年第44號第15條修訂;由1980年第51號第48條修訂)

(2) 第(1)款不適用於下述情況引致的任何喪失工作能力 —— (a) 根據《肺塵埃沉着病及間皮瘤(補償)條例》(第360章)可追討補償的肺塵埃沉着病或間皮瘤(或兩者);或 (由2008年第6號第45條代替) (b) 根據《職業性失聰(補償)條例》(第469章)須付補償的噪音所致的失聰。 (由1995年第21號第41條代替)


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Cap. 282 Employees’ Compensation Ordinance 



そこで、もし新型コロナウィルスを職業病として、つまり労災認定対象と規定すれば、労働者への行政的に確実な直接補償の対象になる。民事よりも行政手段の範疇の方が確実であり、労働者への不確定性、不利な負担がない。


香港工人健康中心主席の余德新によれば、今回の新型コロナウィルス肺炎蔓延下で、香港では70名以上が仕事が原因でコロナに感染している。主な職業は、接客業であり、個人タクシー運転手、外国籍ハウスキーパー、スチュワーデス等である。海外でも、大陸でも医療関係者も多数感染して死亡している事はニュースを見ているものなら周知の事実である。


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新冠肺炎未列為職業病 工會批港府卸責失職

https://hk.on.cc/hk/bkn/cnt/news/20200422/bkn-20200422150531646-0422_00822_001.html



2. 労働災害及び死亡時の賠償:『被雇用者補償条例』(僱員補償條例 


適用範囲:


全ての労働者が保障され、学生、農業労働者、香港で登録した船舶上働く船員、及び当該船舶上勤務するその他の労働者、そして香港の雇用主に雇用され、香港以外の場所で勤務する労働者も包含される。


雇用主の責任:


労働者が雇用期間に事故が発生して、それが過失であれ、不注意によるのであれ、或いは労働者が雇用主が用意した交通手段で移動中に、外地へ向かう途中も含めて、事故で傷害を負った場合、雇用主は全て、補償責任を負わなければならない。


言い換えると、この雇用主によるアレンジという点がある為に、香港では日本の派遣労働者同様に、企業による交通手当が存在しない点が日本の労働環境と大きく異なる点の一つである。であるから、ついでに言うと単に基本給だけ提示するのではなく、毎月の交通費を計算した上で、要求する給与額に反映させるべきである。


その他、8号或いは、それ以上の台風警報レベルの期間に、或いは暴風雨警報(赤、黒)発令期間に労働者が直接の路線で(寄り道せず)出勤や帰宅をする途中に事故に遭う場合、全て労災、労災による死亡と見做される。そして、雇用主は賠償責任を負う。


この点は、日本よりも優れている。日本では、台風がどんなに危険な勢力でも出勤を強制され、出勤移動時間を原則的に勤務時間に含めないからである。


賠償請求の資格:


もし労働者が、業務上傷害を負ったり、死亡した場合、或いは職業病を患い一日仕事ができなくなったら、事故及び傷害死亡賠償を申請できる。


恐らく(可能性として規定されている事項であるから、行政側の判断)賠償を獲得できない状況:


a.労働者が、故意に自ら傷害を負ったり、あまりにも著しい不当行為で自ら傷害を負った場合。


b.労働者の傷害が、違法薬物中毒や飲酒によるもので、傷害が死亡や永久的な重度の傷害をもたらすものではない場合。


c.労働者が、雇用主側に疾患を報告せず、その疾患が当該労働者の傷害をもたらした場合。


従って、労働者は業務上の傷害、疾患はその証拠を確保した上で、企業側に正式なルートで、文書で形に残る様に、報告をしておく事が肝要である。


労災賠償の申請方法:


a. 労災発生後、労働者或いはその代表が可及的速やかに、口頭あるいは労工処の所定の格式で、雇用主或いは労工処へ通知する。内容は、姓名、住所、傷害の原因、場所、時間などである。重要な点は、事故、死亡現場が、勤務地或いは、付近であれば、自動的に雇用主へ通知を行ったと見做される。管理監督義務の範疇内での出来事だから当然承知という前提で処理される点は労働者階級に有利である。つまり、香港では知らぬ、存ぜぬを貫き、いたずらに賠償を避けようとする無責任な悪質企業がどれだけ多いかを物語る規定である。


b. 雇用主は、通知を受けた後、労災の種類に応じて、法定の期日内(死亡なら、7日以内;非死亡なら14日以内)に、所定の格式で労工処に通知する。調査後に、労工処は労働者の為に手続きを行う事ができ、もし雇用主が労工処に通知していない場合、労働者は自ら労工処へ申請する権利がある。


c. 労災補償の申請は、労災発生後の24ヶ月以内に行われなければ、時効になる。


d. 労働者は、労災発生後、政府に登録されている医師の治療を受け、病仮紙と中国語で言う所のシックリーブ証明書を発行してもらい、労災シックリーブを取得する。そして、雇用主は、労働者がシックリーブを消化する期間に、一時的に仕事能力を喪失する補償を支払わなければならない。(病仮銭と言われる労災シックリーブ手当)


要注意点は、このシックリーブにしても、以上は、法定のシックリーブを指し、各企業の裁量によるシックリーブと混同してはならない。


また、政府登録の医師とは、登録している西洋医学、漢方医、そして歯科医を指す。


3. 労災賠償の計算方法


死亡及び永久的な障害の場合の賠償:


年齢40歳以下の場合、死亡なら84ヶ月の収入、永久的な障害で仕事能力を完全喪失する場合は、96ヶ月分の収入。


40から56歳以下で、死亡なら60ヶ月の収入、永久的な障害で仕事能力を完全喪失する場合は、72ヶ月分の収入。


56歳以上の場合、死亡なら36ヶ月の収入、永久的な障害で仕事能力を完全喪失する場合は、48ヶ月分の収入。


注意:


死亡の場合の最低金額は、408,960香港ドルで有り、これは、2017年4月1日以降のケースに適用。


永久的な障害で仕事能力を完全喪失する場合の最低金額は、464,360香港ドルで有り、これは、2017年4月1日以降のケースに適用。


又、もし2017年4月1日以降に労災発生した場合、労災賠償金額の計算は、毎月の収入は、最低4,090香港ドル、最高28,360香港ドルの制限がある。


収入の計算方法:


『被雇用者補償条例』の定義によれば、収入とは、以下を包括する。


a.現金(賃金)

b.労災で傷害を負った労働者が享受できないが、現金計算できるいかなる権益。食事、燃料、或いは宿泊など。

c.経常的な、残業代、残業への補償、或いはその他の特別な収益。ボーナス、手当など。

d.習慣上得るべきチップなど。


条例では、収入には、間欠性の残業代、経常的なボーナス、交通手当或いは優遇、雇用主が払う公的貯蓄金などの項目は含まないとされる。


経常性、固定性を香港は重視しているが、これは一面的であり、労働者に不利である。残業代でも、非経常的な賃金は排除すると言う事は、固定残業代に道を開くが、それは正にブラック企業の定額働かせ放題の手口そのものである。これは、残業代法制たる、8時間労働制が未だ成立していない事に原因がある。


又、計算においては、労災の前の月、或いは前の12ヶ月の平均賃金で計算するが、労働者に有利な方を基準にするように規定されている。


4. 死亡賠償


もし、労働者が雇用期間に業務によって労災に遭った場合、或いは法定の職業病を患い死亡した場合、その雇用主は『被雇用者補償条例』に基づいて、その労働者の存命の家族に死亡の補償を支払う。これ以外に、雇用主は当該死亡労働者の葬祭費及び医療費を支払う。その上限は、83,700香港ドルである。


死亡補償は、死亡した労働者の家族成員へと支払う。『被雇用者補償条例』の規定によれば、所謂家族成員とは、以下を指す。


配偶者或いは同居の伴侶;子息;父母;或いは母方の祖父母;或いは労災発生と近接する発生前の24カ月以内に、ずっと同居家族として生活した当該労働者の孫;曾孫;ステップファミリー;兄弟姉妹;配偶者の父母;女婿;婿娘;配偶者の兄弟姉妹;兄弟姉妹の配偶者;配偶者の兄弟姉妹の配偶者;全血の親兄弟家族の子息、同父異母或いは同母異父の兄弟姉妹。

さらに、当該死亡労働者の為に葬祭費や医療費を支払った者は、その費用を建て替えたものとして払戻の補償を受けられる。その補償は、以下の付表に基づいて分配され、その死亡した労働者の資格ある家族成員に支払われる。


5. 扶養賠償


もし労災に遭った労働者が生活維持の為に、経常的に他者に扶養される必要がある場合、法廷の判決の後、上述の賠償以外に、さらに556,700香港ドルの賠償を受けられる。


6. 永久的に局部の仕事の能力を喪失する場合の賠償


補償金額は、傷害、障害及び仕事の能力を喪失した程度に応じて、労工処処長が委任する評定委員会が評定して確定する。


7. 一時的に仕事の能力を喪失する場合の補償


a. 労災期間に受領する金額は、労働者が労災で仕事のできない期間、期間に分けて分割で金額を受領するか、一度に一括して受領するかである。当該金額は、労働者の通常の収入の5分の4である。雇用主は、通常の賃金支払日に期間に分けて支払う金額を振り込まなければならない。7日を過ぎても支払いのない場合は、違法であり、雇用主は起訴される可能性があり、2万香港ドルの罰金を課せられる。


b. この金額は、上述の死亡及び永久的な障害の場合の賠償、死亡賠償、扶養賠償などから控除してはならない。


c. もし、労災の労働者が受給期間中に死亡した場合、或いは永久に仕事の能力を喪失したと断定された場合、雇用主は別途に死亡賠償、及び仕事能力の永久的喪失に対する賠償を支払わなければならない。


d. もし労働者が、労災で24カ月以上経過して、まだシックリーブ中ならば、区域裁判所に期間分割の受給期限の延長を申請でき、裁判所は、期限を12カ月を超えない期限まで延長できる。


e. もし、労働者のシックリーブが労災日から12カ月(及び24カ月)を超える場合、当該労働者の収入は労災日から12カ月(及び24カ月)後に調整する。


8. 義肢賠償


a. 最初は、義肢の着用費用は最高額が、40, 010香港ドルである。これは、同一の労働者の労災の件一つ一つに関してである。


b. 着用後、10年以内の修理、交換費は最高額で121,230香港ドルである。


9. 医療及び検査費用


労働者が、労災に遭い、雇用主が既に労働者へ十分な医療費を提供していないなら、その雇用主は、医療費を支払わなければならない。問診であれ、入院であれ、最高額は毎日300香港ドル(2018年2月9日より)。労働者は、書面通知と一緒に相関するレシートを用いて、雇用主へ請求できる。万が一、雇用主が書面通知後に21日を過ぎても未払いである場合、労働者は労工処へ申請して裁決できる。


10. 賠償費用の先払いと控除について


雇用主は、賠償費用を先に労災労働者或いはその遺族に支払い、後で労災賠償の中から控除する事は認められている。


11. 解雇禁止


雇用主は、以下の状況において、労災労働者を解雇したり、雇い止めにした場合、違法であり、最高で2万香港ドルの罰金になる。


a.労工処処長が、補償評定証明書を発行する前;

b.労使双方で直接労災補償を解決する協議の前;

c.被雇用者補償評定委員会(僱員補償評估委員會)が、相関する仕事能力の永久的喪失の評定証明書を、発行する前に上述の行為が為される場合。


12. 補償方法


被雇用者賠償協議書は、労工処管轄下の被雇用者補償評定委員会(僱員補償評估委員會)が評定する。もし業務が原因で死去した場合は、法廷が裁決して有効である。又もし、労使の一方が被雇用者補償評定委員会(僱員補償評估委員會)の決定に不服である場合、それが発行された後の14日以内に書面で、労工処処長へ書面で、反対書を提出する。


それから、もし雇用主が協議書或いは法廷の裁決書が発行された後、21日以内に全額支払うか分割で支払わなければ、多めに未払い金額の5%或いは660香港ドルの追加費用を払わねばならない。さらに、3ヶ月後になっても未払いである場合は、額外に未払い全額の10%或いは1,330香港ドルを支払わなければならない。(どちらか高額金額の方を基準にする)


ちなみに、補償の期日未払いの追加費用及び額外追加費用は、2015年3月4日から2017年の3月30日の期間に労災に遭った、或いは指定の職業病を患った場合、それぞれの追加費用及び額外追加費用は、610香港ドル及び1,220香港ドルであった。



13. 過失賠償


もし労災が、法廷の裁決で雇用主の過失(不注意や怠慢など)によりもたらされた事が確定した場合、労働者やその遺族は上述の労災補償を獲得できるだけでなく、さらに法廷に雇用主に対する過失賠償を申請できる。


香港では、一般的に過失賠償金額は、『被雇用者補償条例』による傷害死亡の賠償金額よりもかなり高額になるとされている。しかし、注意点は労働者側が既に得た傷害死亡の賠償金額を控除する事である。


これは、通常高等法院で訴訟を提出し、往々にして弁護士や大弁護士の協力が必須になる。であるからして、この必要がある労働者は、労働組合或いは法律援助処に協力を求めるべきである。


14. 労災補償の受給資格ある家族構成と補償の分配


a. 配偶者/同伴伴侶のみの場合は、配偶者/同伴伴侶は100%獲得する。

 

b. 子女のみの場合は、子女は100%獲得する。


c. 父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母のみの場合は、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は100%獲得する。


d. 配偶者/同伴伴侶;或いは子女のみの場合は、配偶者/同伴伴侶は50%獲得し、子女は50%獲得する。


e. 配偶者/同伴伴侶;父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母のみの場合は、配偶者/同伴伴侶は80%獲得し、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は20%獲得する。


f. 配偶者/同伴伴侶;或いは子女;父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母のみの場合は、その他の資格ある家族成員が居ようといまいと、配偶者/同伴伴侶は45%獲得し、子女は45%獲得し、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は10%獲得する。その他の資格ある家族成員は、獲得できない。


g. 子女;父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母のみの場合は、子女は80%獲得し、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は20%獲得する。


h. その他の資格ある家族成員のみで、存命の配偶者/同伴伴侶;子女;父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母のいない場合は、その他の資格ある家族成員は100%獲得する。


i. 配偶者/同伴伴侶及びその他の資格ある家族成員のみの場合は、配偶者/同伴伴侶は95%獲得し、その他の資格ある家族成員は5%獲得する。


j. 子女とその他の資格ある家族成員のみの場合は、子女は95%獲得し、その他の資格ある家族成員は5%獲得する。


k. 父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母とその他の資格ある家族成員のみの場合は、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は95%獲得し、その他の資格ある家族成員は5%獲得する。


l. 配偶者/同伴伴侶;子女とその他の資格ある家族成員のみの場合は、配偶者/同伴伴侶は、50%獲得し、子女は45%、その他の資格ある家族成員は5%獲得する。


m. 配偶者/同伴伴侶;父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母とその他の資格ある家族成員のみの場合は、配偶者/同伴伴侶は、75%獲得し、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は20%獲得し、その他の資格ある家族成員は5%獲得する。


n. 子女と父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母とその他の資格ある家族成員のみの場合は、子女は75%獲得し、父母;或いは祖父母;或いは母方の祖父母は20%獲得し、その他の資格ある家族成員は5%獲得する。


15. 職業病 Occupational disease 


職業病は、日本語に疎い連中が無知から勘違いしがちな変な日本語ではなく、列記とした日本語、中国語両者でそのまま文字通り通用する大切な国際的な専門用語である。


職業性疾病業務上疾病は同義語である。ここに、職業に固有の疾患として固定するか、凡そ業務上患う疾患として個別に解釈するかの別はある。前者の立場で、新型コロナウィルスを職業病として認定するのを拒絶しているのが香港政府である。労働者にとって、最も医療用語が難解な領域の労働問題である。日本政府も同様の傾向にあるが、香港政府よりまずいと言える。日本は、新型コロナだけでなく、伝染病が職業病の概念と分離されている。


ここでは、職業病は、建築土木業、工業に限定されると言うのは単なる無益な偏見である。そのような固定観念は、職業病と業務上の伝染病の感染とを切り離して捉えると言う甚だ労働者階級に無益な結論を導き出すからだ。ほとんどこうした有害無益な固定観念は、支配階級からオフィスや現場を通じて労働者階級へ代々惰性的に刷り込まれているものである。

日本で2020年4月現在公認の職業病は、以下である。


労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 別表第一の二


一 業務上の負傷に起因する疾病

二 物理的因子による次に掲げる疾病

  • 1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患

  • 2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患

  • 3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患

  • 4 マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患

  • 5 電離放射線にさらされる業務による急性放射線症、皮膚潰瘍等の放射線皮膚障害、白内障等の放射線眼疾患、放射線肺炎、再生不良性貧血等の造血器障害、骨壊死その他の放射線障害

  • 6 高圧室内作業又は潜水作業に係る業務による潜函病又は潜水病

  • 7 気圧の低い場所における業務による高山病又は航空減圧症

  • 8 暑熱な場所における業務による熱中症

  • 9 高熱物体を取り扱う業務による熱傷

  • 10 寒冷な場所における業務又は低温物体を取り扱う業務による凍傷

  • 11 著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患

  • 12 超音波にさらされる業務による手指等の組織壊死

  • 13 1から12までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子にさらされる業務に起因することの明らかな疾病


三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

  • 1 重激な業務による筋肉、腱、骨若しくは関節の疾患又は内臓脱

  • 2 重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛

  • 3 さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動器障害

  • 4 電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害

  • 5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することの明らかな疾病


四 化学物質等による次に掲げる疾病

  • 1 厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの

  • 2 弗素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂の熱分解生成物にさらされる業務による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患

  • 3 すす、鉱物油、うるし、テレビン油、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患

  • 4 蛋白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患

  • 5 木材の粉じん、獣毛のじんあい等を飛散する場所における業務又は抗生物質等にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患

  • 6 落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患

  • 7 石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚

  • 8 空気中の酸素濃度の低い場所における業務による酸素欠乏症

  • 9 1から8までに掲げるもののほか、これらの疾病(しっぺい)に付随する疾病その他化学物質等にさらされる業務に起因することの明らかな疾病


五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則(昭和三十五年労働省令第六号)第一条各号に掲げる疾病


六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

  • 1 患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患

  • 2 動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患

  • 3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症

  • 4 屋外における業務による恙虫病

  • 5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病


七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

  • 1 ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍

  • 2 ベーターナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍

  • 3 四―アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

  • 4 四―ニトロジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

  • 5 ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務による肺がん

  • 6 ベリリウムにさらされる業務による肺がん

  • 7 ベンゾトリクロライドにさらされる業務による肺がん

  • 8 石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫

  • 9 ベンゼンにさらされる業務による白血病

  • 10 塩化ビニルにさらされる業務による肝血管肉腫又は肝細胞がん

  • 11 オルト―トルイジンにさらされる業務による膀胱がん

  • 12 一・二―ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管がん

  • 13 ジクロロメタンによりさらされる業務による胆管がん

  • 14 電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫

  • 15 オーラミンを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

  • 16 マゼンタを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

  • 17 コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務による肺がん

  • 18 クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん

  • 19 ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん

  • 20 砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん

  • 21 すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん

  • 22 1から21までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他がん原性物質若しくはがん原性因子にさらされる業務又はがん原性工程における業務に起因することの明らかな疾病


八 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病


九 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病


十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病


十一 その他業務に起因することの明らかな疾病


出典:

職業病リスト


 

香港の職業病で主要なよく見られる8つのケース

(香港の労働環境で典型的な業務上疾患)


a. 塵肺(じんはい;Pneumoconiosis):主因は長期間の粉塵や微粒子の吸入であり、職業としては建築業や鉱業に常見される。


b. 減圧症(げんあつしょう;Decompression sickness:主因は仕事環境の気圧と正常な気圧との差異であり、職業としては地下トンネルを開削する現場に見られる。


c. 皮膚炎(ひふえん;Dermatitis):主因は長期的に刺激性のある化学製品と接触する事であり、職業としては電気めっき(electroplating)の作業現場に見られる。


d. 腰痛(ようつう;Low Back Pain):主因は、座席の設計不良、或いは仕事上の体位姿勢が誤っている事であり、職業としては運送業や事務労働に見られる。


e. 聴覚障害(ちょうかくしょうがい;Hearing loss):主因は、長時間の騒音に曝される事であり、職業としては造船業や杭打ち機による作業に見られる。


f. 中毒 (ちゅうどく;Poisoning):主因は、有毒化学製品や気体を吸入する事であり、職業としては排水業務(Drainage Services)に見られる。


g. 腱鞘炎けんしょうえん;Tenosynovitis):主因は、長時間重複して同じ動作をする事であり、職業としては製衣業、組み立て作業、タイプライターなどの現場に見られる。


h. 静脈瘤 じょうみゃくりゅう;varicose vein):主因は、長時間起立している事であり、職業としては販売、飲食サービス、医療看護の現場に見られる。


職業病の補償


a. 労働者は、もし職業病を患い、損傷をきたすならば、労災補償の方法で補償を獲得できる。もし、労働者が職業病で死亡した場合、その親族が補償を獲得できる。各種類の保証を獲得できる職業病の詳細は付表で明示するごとくである。


b.職業病を労働者が患った場合は、以下の状況下で補償を獲得できる。


a-1. 労働者が職業病で完全或いは局部的に、暫時的に或いは永久的に働く能力を喪失する場合;


a-2.及び当該疾病が、労働者が仕事の能力を喪失する前の、近接した所定期間(訂明期間)のいかなる時間内に、雇用され従事した業務の性質上起因としてもたらされた場合。(各種類の職業病の法定の所定期間については、付表2で明示する)


c.もし所定期間内に、当該労働者が複数の雇用主に同類或いは類似の業務に従事していた場合、各雇用主は全て補償責任を負う。負担多寡は、状況を見て判定される。


労働者側の注意事項


雇用主は、もし労働者を職業病を引き起こしそうな業務に従事させる場合、労働者にまず身体検査を雇用主の費用で受ける様に要求できる。もし、労働者が拒否した場合、労災による死亡や職業病感染時に労災補償を受給する権利を喪失する可能性がある。


16. 労災補償の取得手順


労災発生したら、当該企業、上司に通知する。そこから、労工処の被雇用者補償科(僱員補償科)へ企業から通知する。そして、労災労働者は法定シックリーブ期間に通常の5分の4の賃金を受給する。(労災認定のケースでは、単なる法定シックリーブに事は止まらない)


労働者が回復した後、


a.3日を超えないシックリーブである場合、シックリーブ時の賃金と医療費を受給できる。


b.3日を超えるが、7日を超えないシックリーブであり、しかも永久的に仕事の能力を喪失していない場合、雇用主は直接労働者と協議して労災補償問題を解決できる。協議の取り消し申請は、協議成立後の6ヶ月以内に労工処へ提出する。


c.7日を超えるシックリーブであるか、或いは永久に仕事の能力を喪失する場合、シックリーブ終了後1ヶ月に労工処へ赴き、労災判定を申請する。


そして、被雇用者補償評定委員会(僱員補償評估委員會)が労災を評定判定し、労災評定証明書を発行する。


a. 仕事能力を5%以内喪失した程度の場合、労工処処長が賠償を計算し、賠償証明書を発行する。


a-1. 労使双方が、評定に反対しない場合、雇用主は21日以内に賠償を支払う必要がある。


a-2. 労使の一方が、評定に反対する場合、14日以内に労工処へ反対理由を申し出て、そのコピーも相手側に渡す。結果の再レビュー或いは評定やり直しをした上でも、不満ならば、法廷での紛争になる。


b. 仕事能力を5%或いはそれ以上喪失した場合、労使双方反対しない場合は、労災評定証明書発行の21日以内に、協議書にサインする。そして、3日以内に労工処へ提出し、労工処が批准しない場合、10日以内に修正協議書を再提出する。最後に労工処が批准後、21日以内に賠償を支払う。