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香港労働 Hong Kong Labor Issues #24 日本人のための香港労働問題研究:労資審裁所の審議に出廷できるのは誰か?

Updated: Nov 3, 2023


香港労働 Hong Kong Labor Issues #24 日本人のための香港労働問題研究:労資審裁所の審議に出廷できるのは誰か?
FILE PHOTO: Addressing the Court © WiX

労資審裁所の審議に出席可能な者

『労資審裁所条例』第23条では、これがまさに規定されているが、労働者に有利というより香港的で開放的、資本家本位=企業経営側本位であり、資本家にとっての自由平等の実現、つまり従って労働者に不利な欠陥がある。

目先の方便でこの労資審裁所を捉えるべきではない、それは労働審判としては不具なものであり、賃金関連に限定されている上に、そこでは和解案しかない

23.

Right of audience

(1)

The following persons shall have a right of audience before the tribunal—

(a)

a claimant or defendant;

(b)

a tribunal officer;

(c)

an authorized officer;

(d)

an officer or servant of an unincorporated or incorporated company or a member of a partnership, if the company or partnership is a party;

(Amended 14 of 2003 s. 11)

*(e)

with the leave of the tribunal, an office bearer of a registered trade union or of an association of employers who is authorized in writing by a claimant or defendant to appear as his representative; and

(Amended 101 of 1997 s. 24; 135 of 1997 s. 14; 14 of 2003 s. 11)

(f)

a public officer, not being a barrister or solicitor, who appears on behalf of the Secretary for Justice, if the Secretary for Justice is a claimant or a defendant.

(Added 14 of 2003 s. 11)

(2)

A barrister or solicitor shall have a right of audience before the tribunal only if he is—

(a)

acting on his own behalf as a claimant or a defendant; or

(b)

appearing before the tribunal on behalf of an offender for the purpose of section 42.

(Replaced 25 of 1999 s. 8)

Editorial Note:

* As to the suspension of operation of 101 of 1997, please see s. 4(1) and (2) of Cap. 538. On 31 October 1997, that s. 4(1) and (2), to the extent that it was in effect immediately before 31 October 1997, ceased to have effect. Please see s. 14(2) of 135 of 1997.

自由、平等、博愛などは主語が省略されているのが資本主義社会では通常だが、資本家のそれである事を忘れてはならない。特定支配階級のものである限り、それは被抑圧階級の不平等、不自由である事の裏返しである。

この常に折衷的な和解案で賃金/金銭問題を処理するという労組を含めた、一般の観念が強い労働審判に相当するこの労資審裁所について語ろう。中国人的に基本的に何でも金で解決の社会である。また、金だけがこうした法廷で問題にされるというのは一面的であるが、事実である。

出廷できるのは、原告被告は当然であるが、他に調査担当官、権利委託された者、または会社の1名の管理職か上級職員、もし共同ビジネスであり法人を形成していない場合は、共同ビジネスのパートナー1名が対象となる。

つまり、会社であれば管理職が1名代表として審議に出席してくる。一般的に直属のマネージャーであると想定されるが、法務部、人事部のマネージャーの可能性も日本同様高い。

いわゆるシニアは香港では通常ただのスタッフであり、マネージメントへの野心はあっても管理職ではない。ただ管理職が何か権限を普通のスタッフに条件的に委託はできると考えられる傾向はある。管理職の権限で、普通職員に命令で他の職員の管理をさせることはできるという見方はある。但し、これでは無際限に曖昧化でき、契約内容を業務命令の形式で覆す事ができるので、雇用契約との関係でトラブルになりやすい。

ここで日本の労働環境とは異なる最重要の相違は、日本と違い、香港ではこの段階での紛争で双方が弁護士を代理人として出廷ができないことである。しかし、これはこの労資審裁所での法廷闘争で、双方が弁護士に相談できないというものではない。


労資審裁所での審議で紛争相手が会社の場合

ここで、疑問が出てくる。会社の場合は、当該企業の社長、代表取締役が出てくる必要があるのか? 社長の個人秘書や当該企業が委託した別の企業の社員(本来の意味の社員とは役員のみを指す)が出廷できるか?

上記の様に、『労資審裁所条例』第23条が明確に規定する所では、社長の個人秘書がもし、当該企業の職員でなければ会社の授権があろうとも会社側の代表として出廷することはできない

また、これは現在の各部門の本来の業務を外部委託しているケースにおいて、それが規模の大きい会社であり労働者の判断が困難になるが、ここでは他社に代わり管理の業務を行う代行会社を考察すれば十分である。人事管理も他社に部門ごと委託するのが現在である。

例えば、香港のグループ企業では、人事管理そのものを他社に一元化して託しているケースがある

もし労働紛争がそのグループのさらに別の企業で発生した場合は、このグループのために人事管理をしている企業の職員が、いくら人事管理を委託されているからといっても、その別企業で発生した労働紛争のために、労資審裁所に代表として出廷することはできない。

労資審裁所での弁護士の代理不可について

ここには、法的な瑕疵がある。労働者に不利な点は、例え弁護士に代理する権利がないとしても、当該企業の雇用した職員としての弁護士は、当該企業の職員の身分で出廷できる。労働者自身が弁護士や弁護士経験のある法務部社員でない場合の方が多い。そこで、労働者はこの場合、申請して当該案件を別の法廷に廻し、双方弁護士を正式に立てる形にして法廷論戦自体の不利を補うことができる。

しかし、労働者の負担の軽減や利益の保護はここでは不十分であるのが明確である。見かけが、労働者に有利なようで実は労働者に不利なカラクリになっているというのはこの点に本質が顕在化している。

単純にプロレタリアートに有利なものとして香港の労働者に認識されていない所以である。労働者階級に有利な仕組みは、香港の労働法制にはないと断言できる。

裁判で争う段階に至らなくても、法的な責任を会社にしっかり果たさせる義務は、労働者各個人にはある。

香港の労組は労働三権がない、つまり団体交渉権がないので、労組とは言えず、よくてもこうした労資裁判の出席者、顧問ぐらいにしかならない。

しかも、香港のようにその法的な企業側の責任部分が緩い、法的規制や罰則もない、制裁や指導の可能性が著しく狭いもしくはない場合は、闘争はそれをカバーするために、より広範な視野と工夫、手段が必須になるが、それはその条件下での労働者の革命的な権利、革命権、生存権である。


香港労働問題研究論考30章

(以下リンクより各論考へ)

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香港で労使紛争に遭った場合の基礎的な注意事項

1、もし、雇用主と労働条件で労使紛争が起きた場合、直ぐに衝動的に書面や口頭で雇用契約を終了しないこと。当然、香港の人事部はマネージメントの追随及び人事の事務処理代行の域をでない低劣さが顕著なので、まずは、労働組合や労働問題の経験ある弁護士に一定期間相談するべきである。その上でも終了はいつでもできる。人材会社の連中は、日本同様労働問題の相談相手ではない。連中は、広告主である企業の人事部の意向と方便しか一面的に顧みない。

2、もし、雇用主に解雇された場合、いかなる文書にもサインしないこと。また、何かにサインする前に、自身に不利ではないかまず内容をよく見ること。不明な点は、質問しはっきりさせ、解答が不明瞭ならばサインは拒否するべきである。つまり、理解できないものは拒否すること。下劣な香港マネージメントは手口としてあからさまな詐欺を働く場合もあり、それはサイン無効として追究する道を開く。ここで、重要なのは、サインした全ての公式、非公式の文書はコピーを要求する権利があり、コピーを渡さないならばサインしないことである。このような卑猥な資本主義の犬に屈するくらいならばサインや合意を破棄するべきである。その方が労働者の精神的利害及び社会的契約上の権利の実現と言える。日本の求人詐欺の手口は基本的に香港でも存在している。多くの多国籍企業のアジア太平洋地区の本部は香港であり、人事部が実は香港という大企業も少なくない。手口自体の共通性はここから来ている。

3、紙媒体か電子媒体かを問わず、全ての企業関連の文書を保存すること。これは、雇用契約書から、就業証明、給与支払報告書、税報告書、解雇通知書などを含み、その後労働者の受けるべき権益を要求する基礎になる。

References

1.《勞資審裁處條例》https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap25!zh-Hant-HK

2.香港法例第57章《僱傭條例》僱傭保障Q&A http://www.labour.gov.hk/tc/faq/cap57k_whole.htm

3.勞資審裁處表格 http://www.judiciary.hk/tc/crt_services/forms/labour.htm

4.勞資審裁處條例 https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap25!en

5.第338章 《小額錢債審裁處條例》https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap338

6.Cap. 347 LIMITATION ORDINANCE https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap347!en?INDEX_CS=N

7.Cap. 149 General Holidays Ordinance https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap149

8.判例集 https://www.elegislation.gov.hk

雇用条例の全文は、以下の二つのリンクが有用である。日本語は、完訳済みである。

English: https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap57

Chinese: https://www.labour.gov.hk/tc/public/ConciseGuide.htm

Statements

This series of articles about HK labor issues is written by Japanese due to supporting Japanese workers in Hong Kong where differs from Japanese working environment. Moreover, there is no labor consultant for Japanese workers in Hong Kong while facing blood sucking Japanese recruit agents and overseas Japanese 'Black Kigyo' (Evil Companies).  

Any part of this report may be disseminated without permission, provided attribution to Ryota Nakanishi as author and a link to www.ryotanakanishi.com is provided.

注意:香港には、日本人のための労働相談所はない。また、総じて労働問題対策の出版物は皆無に等しい。日本語だけでは、極めて危険な状態である。香港でも会社の人事部、就職エージェントや企業の人事コンサルタントなどはすべて行為において資本家側であり、自分たちも労働者であるのに、むしろ労働者と敵対するので、要注意だ。会社外の労組へ相談するべきだ。香港では日本人で労働問題を論じている者がいないと言うことはできない。私は永久に労働者階級のために階級闘争を戦う。階級闘争とは、労働者の階級的利害のための一切の社会的な闘いである。


香港労働 Hong Kong Labor Issues #24 日本人のための香港労働問題研究:労資審裁所の審議に出廷できるのは誰か?
Ryota Nakanishi's Hong Kong labor law knowledge was qualified by professional examination by HKFTU in 2019.
香港労働 Hong Kong Labor Issues #24 日本人のための香港労働問題研究:労資審裁所の審議に出廷できるのは誰か?
Ryota Nakanishi's Hong Kong labor law knowledge was qualified by professional examination by HKFTU in 2019.

 

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