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香港労働 Hong Kong Labor Issues #32 日本人のための香港労働問題研究: 会社倒産及び整理解雇時の対応について

Updated: Nov 15, 2023


FILE PHOTO: An Accountant  ©WiX
FILE PHOTO: An Accountant. ©WiX

労組に相談して会社倒産=整理解雇による賃金未払い等の要求をする過程


事業閉鎖、部分閉鎖又は、こうした状況に遭遇する業種が工事現場に限定された話ではない。よく工事現場の肉体労働の強いイメージで労災や事業閉鎖が想定される傾向が強いが、それらは認識を誤らせる固定観念であり、どの業種にもありえる現実である。


さらには、「休業」の様な暫時的であるという体裁で労働者に正確な情報を伝えない可能性もあるので自覚的に労働者は情報を収集する必要がある。


通常、一部の管理職と仲のいい職員にはあらかじめ知らされている可能性が香港では高い。又、香港では、整理解雇が決まっても表向きには整理解雇の日前日まで求人広告を無責任に出して、一時的な身代わり集めと世間(人材紹介会社)の目を眩ませる人事部の手法がある。これは、決して労働者の利益にはならない。


つまり、正式に会社側に問いただしておかしいと直感で悟った場合は、すぐに労働組合に相談するべきである。香港では、前触れなくいきなり即日解雇をするHMVの様なケースもあるので日頃から注意深く会社の動向や経営状況を確認するべきである。


労働者は、以下の状況に気づいた時点で即時労働組合に相談するべきである。


a.雇用主側が賃金を不払いになるか、債務返済をする能力を喪失。

b.雇用主が突然機械や原料を工場から撤去する。

c.就業場所が突然閉鎖になる。

d.雇用主が突然失踪する。

e.雇用主の資産や貨物が法廷に凍結される。(倒産処理の強制執行の場合)


そして、労働組合の組合員の協力の下に、労工處の労資関係組に連絡する。労工處では、それから法律援助處へ連絡して、会社の倒産処理や破産の手続きを進める協力をする。


そこで、労働者は申請用紙に記入して、雇用契約、給与明細などの資料を提供して、破産未払い賃金基金(破欠基金)に対して未払い賃金の補償を受ける。


さらに、それから当該地区を管轄する労工處に、記入内容や資料が事実である事を宣誓する。そして、労工處が審査して、支払いとなる。これには時間がかかる。それでなくても香港の官僚の事務処理は恐ろしいほど時間を要する。


労組協力に際して


労組差別防止条例(防止歧視職工會條例)が香港にはあり、この倒産問題に限らず労組に協力を仰ぐ際に、法的保護を受ける。そこでは、労働者が労組とその活動に参加する権利が認められており、それに対する差別が法的に禁止されている。


1、労組に参加し、成員になり、又は職員になる権利がある。

2、適切な時間に労組活動に参加する権利。適切な時間とは、仕事外の時間や、仕事時間内で、労働者と雇用主が話し合いで決めた時間、もしくは雇用主が同意した時間である。(勤務時間中でないとストライキが話にならないし、あまりに資本家寄りの条項である)

3、労組を組織し、労組を登録する権利が誰にでもある。


もし雇用主が、労働者が上記の権利を行使するのを阻止したり脅迫したり、いかなる行動をもってしても意図的に阻止、又は脅しをかけて労働者が上記の権利行使をするのを妨げた場合、さらにはそれが理由で雇用主に解雇されたり、懲罰を受けたり、その他当該労働者を差別する方法を用いた場合、違法となる。起訴され有罪になると十万元の罰金になる。


労働契約上の労組の保護


労組への差別はもちろん、資本家とその利益代表と化す人事部や法務部や当該部門の管理職や管理職、外部顧問、経営陣全体による労組への差別という事になる。


如何なる者でも、本人もしくは他人を代表して労働者を雇う時、以下の様な条項、条件、責任を設けてはならない。


1、労働者が労組の成員や職員である場合に、それを放棄させる事。

2、労組の成員や職員になるのを禁じる事。

3、他の者と労組を結成したり、それを労組として登記するのを禁じる事。


これらを労働契約、雇用条件にするのは違法である。そして、有罪判決が下ると二万元の罰金刑になる。


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香港で労使紛争に遭った場合の基礎的な注意事項


1、もし、雇用主と労働条件で労使紛争が起きた場合、直ぐに衝動的に書面や口頭で雇用契約を終了しないこと。当然、香港の人事部はマネージメントの追随及び人事の事務処理代行の域をでない低劣さが顕著なので、まずは、労働組合や労働問題の経験ある弁護士に一定期間相談するべきである。その上でも終了はいつでもできる。人材会社の連中は、日本同様労働問題の相談相手ではない。連中は、広告主である企業の人事部の意向と方便しか一面的に顧みない。


2、もし、雇用主に解雇された場合、いかなる文書にもサインしないこと。また、何かにサインする前に、自身に不利ではないかまず内容をよく見ること。不明な点は、質問しはっきりさせ、解答が不明瞭ならばサインは拒否するべきである。つまり、理解できないものは拒否すること。下劣な香港マネージメントは手口としてあからさまな詐欺を働く場合もあり、それはサイン無効として追究する道を開く。ここで、重要なのは、サインした全ての公式、非公式の文書はコピーを要求する権利があり、コピーを渡さないならばサインしないことである。このような卑猥な資本主義の犬に屈するくらいならばサインや合意を破棄するべきである。その方が労働者の精神的利害及び社会的契約上の権利の実現と言える。日本の求人詐欺の手口は基本的に香港でも存在している。多くの多国籍企業のアジア太平洋地区の本部は香港であり、人事部が実は香港という大企業も少なくない。手口自体の共通性はここから来ている。


3、紙媒体か電子媒体かを問わず、全ての企業関連の文書を保存すること。これは、雇用契約書から、就業証明、給与支払報告書、税報告書、解雇通知書などを含み、その後労働者の受けるべき権益を要求する基礎になる。


References


1.《勞資審裁處條例》https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap25!zh-Hant-HK2.

2.香港法例第57章《僱傭條例》僱傭保障Q&A http://www.labour.gov.hk/tc/faq/cap57k_whole.htm 3.勞資審裁處表格 http://www.judiciary.hk/tc/crt_services/forms/labour.htm

4.勞資審裁處條例 https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap25!en

5.第338章 《小額錢債審裁處條例》https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap3387.Cap.

6.347 LIMITATION ORDINANCE https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap347!en?INDEX_CS=N8.Cap.

7.149 General Holidays Ordinance https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap149

8.判例集 https://www.elegislation.gov.hk

雇用条例の全文は、以下の二つのリンクが有用である。日本語は、完訳済みである。 English: https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap57

Chinese: https://www.labour.gov.hk/tc/public/ConciseGuide.htm


 

Statements


This series of articles about HK labor issues is written by Japanese due to supporting Japanese workers in Hong Kong where differs from Japanese working environment. Moreover, there is no labor consultant for Japanese workers in Hong Kong while facing blood sucking Japanese recruit agents and overseas Japanese 'Black Kigyo' (Evil Companies).   Any part of this report may be disseminated without permission, provided attribution to Ryota Nakanishi as author and a link to www.ryotanakanishi.com is provided.

注意:香港には、日本人のための労働相談所はない。また、総じて労働問題対策の出版物は皆無に等しい。日本語だけでは、極めて危険な状態である。香港でも会社の人事部、就職エージェントや企業の人事コンサルタントなどはすべて行為において資本家側であり、自分たちも労働者であるのに、むしろ労働者と敵対するので、要注意だ。会社外の労組へ相談するべきだ。香港では日本人で労働問題を論じている者がいないと言うことはできない。私は永久に労働者階級のために階級闘争を戦う。階級闘争とは、労働者の階級的利害のための一切の社会的な闘いである。


香港労働 Hong Kong Labor Issues
Ryota Nakanishi's Hong Kong labor law knowledge was qualified by professional examination by HKFTU in 2019.
Ryota Nakanishi's Hong Kong labor law knowledge was qualified by professional examination by HKFTU in 2019.
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